2000 ISU FOUR CONTINENTS
FIGURE SKATING CHANPIONSHIP
in Osaka 22−27,2000

前夜1日目2日目

 朝です。大阪の朝です。競技が始まるのが遅いので、チェックアウトものんびりです。しかしながらやや眠い。のんびりしすぎて時間をちょっと押しました(泣) 駅をだかだか走る私の傍らに、大荷物のおねいさんたちが歩いていきます。ああ、シンクロナイズドスケーティングのおねいさんたちですね。
 さて、フリープログラムです。この大会のいいところは、フラッシュをたくおバカさんがあまりいないと言うことですね。オープンフィギュアはフラッシュの嵐です。何回放送しても聞きゃしません。この大会では、ちまちまっと光るくらいでアナウンスも全然なくていい感じでした。フラッシュの光が目にはいると選手が危ないんですよね。でもさすがに岳斗君の時はいろいろ光ったしいろいろ投げられたし地響きが起きました。なんかもうおなじみの光景です。笑っておきましょう。
 FPの並びは前日のSPの順位で決まります。順位で並べたあと、何人かのグループにして、その中でシャッフルするので、最初の人が一番下位だとは限らないのですが、一グループの方々はまあかなり見目が劣るといっても差し支えないでしょう。メキシコ君たちは全員一グループに入っておりました。
 6人ずつのグループだったので、本田君はかろうじて四グループです。人数にもよりけりですが、下位グループがいきなり表彰台に上るということはまずないので、上位はこのグループが占めるでしょう。 このメンツの中で本田君がどれだけはい上がれるか、なわけなんですけど、はっきり言って難しいと思いました。もう二人いるチャイニーズ君も合わせ、今回はすっかり中国勢にしてやられております。はっきり言ってスキがないです。その中でも刃のごとき李君を今の本田が抜けるのか? 記録を見る限り何度か李君に勝ってるんですけど、一昨年のN杯も勝ってますけど、それは本田のノーミスな演技があってこそ。ここでノーミスをやれたとしても、開いてしまった差を埋めるのはかなり辛い。
 まず李君です。曲はすっかり忘れました(泣) いやぁ、かっこいい。まあ欲目も大いに入ってますが、アタシはすっかり魅入られてしまいました。なんというか、彼のスケーティングのメリハリが大好きなんですね。きぱっと止まってするっと滑って、くるくるくるーっとこともなげに飛んでしまうのです。中国勢はみんなそうですが、李君はピカイチです。アタシ李君のファンで良かったです。ますます本田君には辛い勝負ですが……。
 そして本田君。黒いタートルネックの衣装ではないんですがどんな衣装だか忘れました(汗) 曲はやはりN杯と同じです。今シーズンはこのプログラムだと言ってましたもんね。
 それでもってよく覚えていないところをみると、飛び抜けて感動したわけではないようです(泣) 悪くはないんです。悪くはないけど、何かが足りない、そんな感じ。どうも最初に観た大会が非常に良かったせいか、あれくらいの感動がないと物足りない気がしてしまって……ジャッジはぎりぎり、四グループ目の中では厳しい点数です。彼の前にはもう三人いて、彼の順位が三位以内に入らなかったときの会場のため息と言ったら、何だかとても悲しかったです「この点数じゃ」って思いながら、「それでも」って気持ちがあった「ため息」に思えたから。せめてエキシビジョンに出られるくらいのところにはいてほしかったなあ。
 で、まあ結果として本田君は五位、李君は二位、優勝はカナダのエルビス・ストイコさんでございました。うう、エキシビジョンは李君ので我慢しましょう。

 エキシビにもだいたいのメンツがいまして、現地のちんまい子とか(ちますぎておもちゃみたい)ジュニアのよさげなのとか、シンクロスケートとかです。今回はジュニアのシンクロをみました。小学生から高校生だったか、背丈に若干の開きがありましたけどね。
 その辺が終わりましたら、出場選手のエキシビになるんですが、のっけから田村岳斗にしてやられました。紫の衣装でした。あんたくらいだよそんなのが似合う日本人は(汗) 岳斗君は表彰台にかすりもしないところにいましたので、なんだってエキシビにでたのかやや謎です。ファンサービス?
 一段落して、製氷されたばかりのリンクにすーっとでてきたのは何と本田君ではありませんか! 期待してなかっただけに度肝びっくりです。嬉しいです。待っててよかった〜!!
 第二部の前座的扱いでしたけれども、出てくれたから良しとしましょう。だってエキシビに出るってことは、サインボールを投げてくれるってことだもんね。ちなみに披露したのはオープンフィギュアで滑ったプログラムでした。少し大人っぽいブルーの衣装と、多分ラブソングっぽいヴォーカルが懐かしく響きます。ヴォーカル入りのは、ISUの大会ではあまり使われないのですよ(ダンスだと使うけど)。オープンの時は、「この曲に乗せてみなさんにメッセージを送りたい」とかいう紹介がされていたなぁ。どんなメッセージだったのかぼんくらな私ははかりかねましたが。
 磨かれたリンクに本田君の描いた大きなS字が残ります。これって、まず滅多にないことなんですよ。競技の前には何分か練習があるから、たとえ最初の選手の時でも、リンクにはいくらかの傷が付いているので。
 美しい半円を描いたそのあとを、私は忘れるまいと心に決めました。この後に何人の人が滑ってそのS字を消してしまっても、私の中にたった一本のラインが焼き付いております。
 注目の李君のエキシビは、一言で言うと「獣」。氷の上に手をついて、野生の獣が躍動するかのごときプログラムでした。こういうワイルドなのをやらせてもいいねぇ李君は。さすがに上位の人になるとアンコールもかかってくるのです。ストイコさんは三半規管がいかれそうなスピンをご披露してくれました。確かこの人、スピンの第一人者だとか何とか……本田もまわるがストイコさんはもっとまわる。遠心力で顔の筋肉がいかれたりしないんだろうか? てーか筋肉が程良く柔らかくなってるんじゃないか? 要らぬ心配ですか?
 で、待ちに待ったサインボール投げです。花束も投げてくれます。アタシはこの日二階席前から六列目だったのですが、サインボールが隣のおばはんに渡り悔しい思いをしました。といっても私の手をかすりもしなかったのだけど……おばはんが更にとなりから勝ち誇って奪い取っておったのです(←このおばはん、競技中も結構うるさかった気がする。しゃべるとかじゃなくて行動がうるさい)。でも見たら「コウジ」だったかどうでもいい名前が書いてありました……てーか誰?

 土産も買ったし切符もチェックしたし、アタシは電車の時間まで茶店でトンボを引いています(泣) 二度目の寝台は慣れたもので、5分で撃沈するのは目に見えていたので、さっさとカーテンを閉めて寝にはいることにしました。向かいの寝台にきたのはどうやら男性のようで、カーテンが閉まっているのを見て「早いな」などとほざいています。
 この男には朝方悩まされました。雪深い日本海ですから、多少の遅れは覚悟していたのですが、退屈しているのかぶつぶつとしゃべっているのです。誰か相手がいるのかとこっそり伺ったら、どうやら独り言。それから、通路の壁に備え付けてあるいすを何度も何度もがたんがたんと出したり畳んだりでうるさいのなんの。何より気に障ったのが大仰なため息でした。なんかちょっとやばそうな感じだったから黙ってたけどねぇ。
 私が降りる駅でもその気配がなかったということは、終点の青森まで行ってしまうんでしょうか? さらに何時間かあるというのに、一人でいらいらしてるようで、先が思いやられました。

 今シーズンの観戦は今回で終わりです。本田君はさっぱりきっぱり奮いませんでしたな(泣) アタシがいかないほうが成績いいんちゃうかと思ったりもするのですが、またアタシは追いかけてゆくのでしよう。次は今年のNHK杯。北海道は旭川です。それまでフィギュアファンの皆様、ごきげんよう。

2000.5.7 天野忍
(月刊あまのんズ2000年3月号掲載文に、加筆修正)


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